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ライブロックの導入

この記事は当社の創業者の一人である阿出川(故人)によるものです。当時の飼育システムや流通環境について述べられているため現在では若干相違がございます。大変申し訳ございませんがご理解のほどご了承ください。
現在、当社のライブロックはキュアリングを必要としません。他社にて購入された際にキュアリングが必要になったときにこのページがお役に立てれば幸いです。また、現在は輸送面でも改善がなされていますので空港止め配送も行っていません。あらかじめご了承ください。

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ライブロック岩組のコツ

1.岩の裏表(上下)を、出来るだけ保ったまま組み上げる。
岩の上下は付着生物の種類で見分けることが出来ます。光のあたる上の部分は色々な海藻類(下の影部分にも少しは生える)が多く特に茶色い色の海藻が生えるのは光の当たる上の部分で間違いありません。また好日性のサンゴ等も見られます。
影の部分にはホヤやウグイスガイ等の薄っぺらな二枚貝、石灰質の白く硬い棲菅を作る小型のケヤリ等など、影の部分の方が目に見える付着生物は多岐にわたるようです。
また全体的に赤系の石灰藻が多く、赤っぽく見える部分が影の部分となります。
ライブロックの上下の位置関係は重要です。
例えばライブロックを1ヶの地球と考えると、赤道直下には熱帯の動物や植物が、また南極にはペンギンやコケの仲間等それぞれの環境に順応した生物が生息しているのですが、この地球を90度回転させて南極の真上を太陽が通るようになったら環境に対応できずに生物が生きていけない。 ちょっと極端すぎる例ですが・・・
ライブロックには表面に見える生物以外にも植物や無脊椎の種子のような物が沢山潜んでいて、環境に順応した場合後々芽を出して成長してくるが環境が合わなければ芽を出さず、また仮に出してもすぐ死んでしまう。
これって我々にとってはやっぱり大きな問題ですね。
しかしながらライブロックの生物には相当の適応能力があるということも事実です。
大切なのは一度岩組みしたライブロックをあまり動かさないことだと思います。ライブロックの生物にとっての環境要因は光だけでなく水流やまわりの生物との関係など私達の推測では理解できない様々な環境要因の中で適応した物が成長してくるのですが、岩組を組み替えることでそれらの環境が変わって生きていけなくなる生物も多数出てくる。これは経験上間違いない事だと思います。

2.隙間を空けて組む
それぞれのライブロックの間を充分に水流が行き渡るように、隙間を沢山空けて岩組をします。ただ、相反するのですが岩組が崩れることの無いように。 水流を作るためのポンプは既にこの時にセットした方が良いでしょう。

3.岩組は少なめかな?という位がちょうど良い。
ライブロックだけを飼育するのなら話は別ですが、後々サンゴをレイアウトする事を考えて、充分な空間をとって岩組みした方が最終的にまとまると思います。特に幹状のソフトコーラル等は思いのほか背が高くなるので、あまり水面近くまで岩を組み上げてしまうと、頭がつっかえてしまいます。

私が水槽のレイアウトをするときには、良くあらかじめイメージの絵を書きます。
「中央部にパウダーサンドの広場があって、広場の縁にはアマモの垣根、そこから右上部にかけてホワイトのウミアザミの段々畑、左側はオーバーハングしてハングの壁面にはトゲトサカの親子」等など、あらかじめ具体的なイメージを作ってから、ダイナミックな岩組をすると良いと思います。 ピッタリと噛み合うような組み合わせが出来るまであれこれ岩を組み合わせて作り上げると良いと思います。

やはり出来るだけ人工的なものは隠した方が、カッコイイレイアウトになると思います。

ライブロックのキュアリングとは

輸送に長時間を要する海外からの輸入ライブロックやC.P.Farmから宅急便での輸送の場合では、たくさんの付着生物の内、非常にデリケートな一部の種類の生物が死ぬことはどうしても免れることは出来ません。(これはライブロックの持つ性質としていたしかたないことのようです)
これらの死骸が付着したライブロックを水槽に導入すると死骸が腐敗して飼育水を急激に悪化させる事になり、既に水槽に魚やサンゴ等が入っていた場合相当なダメージを与え、極端な場合水槽全滅などという事になりかねません。
ライブロックのキュアリングとは、それを避けるために、本水槽とは別のキュアリング用の容器(ゴミバケツ等何でも良い)を用意して、海水をはってヒーターとサーモスタットをセットし、キュアするライブロックを入れ 、コケの繁殖を防ぐために暗くして、強力なエアーレーションを行いながら、腐るものは全て腐らせて、きれいさっぱり水に流して、本水槽に導入するということです。魚を導入する際にトリートメントタンクで病気を治療してから本水槽に入れるのに似ていますね。
キュアリングは可能であればしないに越したことはありませんが基本的に輸送時間が長時間にわたる場合、またはもともとのライブロックの状態が良くない場合には必要になります。
C.P.Farmから航空便の空港止めで送ったライブロックの場合、一般に言うキュアリングはほとんどの場合必要ありません。これは輸送時間が極端に短いため、付着生物は若干のダメージこそあれ死滅するまでには至らず、従って水槽導入直後の一時的な水質の悪化は最小限に抑えられるからです。これはプロテインスキマーもしくは既に濾過バクテリアが繁殖した濾過槽で充分に許容できる範囲のものです。
通常キュアリングの最中は腐敗物がどんどん水に溶け出し、水質を悪化させます。下手なキュアリングを行うとそれが原因で、まだ生きている付着生物までもが死滅し、さらに水を悪化させる。それが原因で他の生物も死滅し・・・という悪循環がはじまり、最終的にキュアリングが終了するまでには相当の時間がかかります。それだけライブロックには沢山の種類と数量の生物が生息しているということです。逆を言えば上記の方法で長時間かけてやっとキュアリングが終わったライブロックは、既に多くの付着生物が死滅してしまい、ごく少数の生物のみの生物層の薄いライブロックになってしまいます。
C.P.Farmが考えるライブロックのクオリティーは、形や色は勿論ですが、色々な種類の生物が沢山生息して生物層の厚いことが大切だと思っています。多種多様な生物がお互いに関係しあって限られた環境の中で不思議なバランスを創っていく事がライブロックの不思議さであり、水槽環境を良くするための強力な機能に結びつくと思います。逆に上記の観点(生物の多様性と量)で品質を追求しているので、その分リスクが大きいという事になります。
それでは出来るだけ、生物層を保ったままライブロックを導入するにはどうしたら良いのか? C.P.Farmなりに考えられる方法をご案内します。

ライブロックを導入する場合

現在の丁寧な梱包と輸送方法ではライブロックの付着生物はほとんど死なないので、一般に言うキュアリングは必要ないというよりしない方がよい。一般的に臨時的なキュアリング容器での水流や水質浄化機能のない不十分な設備環境は生物には酷で、それによってせっかく生きている一部の生物が死んでしまい、それこそ本当にキュアリングが必要な状況を引き起こす事になりかねない。かといって空港止めでも多少なりともリスクは付き物なので、当初の観察は出来るだけこまめに行う必要がある。

新規立ち上げの場合

  • 通常濾過の水槽の場合は予め濾過バクテリアを充分に繁殖させておく。
  • プロテインスキマーはフル稼働させる。
  • 強力な水流を全体にまんべんなくあてる。
  • 照明は最初はつけない。
  • こまめに水質をチェックする。
  • 万一の場合(飼育水から悪臭がする、水質の急激な悪化)にはすぐに換水出来る準備をしておく。

追加導入の場合

  • 少量の場合はそのままドボン
  • ライブロック総入れ替え等大量の場合(同水槽でサンゴや魚を飼育している)「新規立ち上げの場合」に準じた上で2回(1カ月程度の間隔をあけて)もしくはそれ以上に分けて導入して、リスクを分散させる。

宅急便でライブロックを導入するまたは近所のショップから購入する場合

キュアリングが必要な場合がある。ライブロックを水からあげて若干でもアンモニア臭や腐敗臭がする場合は必要。清浄な香り(言葉で説明するのは難しいが少なくとも不快な臭いではない)の場合はそのままキュアなしで行ける場合が多い。ただ、この場合はアンモニア、亜硝酸を当初は出来るだけこまめに測定し、急激な異常があればすぐにライブロックをキュア水槽に移せるよう準備をしておく必要がある。

効率的で迅速なキュアリングの要点

  • 一番のポイントとして、出来るだけ強い水流を全体に回す
  • 出来るだけこまめな換水を行う
  • 生物濾過システムの場合は、あまっている濾過装置があれば全て臨時的に設置する、濾材はバクテリアの繁殖したもの、また活性炭も有効
  • 水量は出来るだけ多い方がよい
  • 水温は25度前後に保つ

複数個導入したライブロックに水質の急変等が見られた場合、その全てをキュアする必要はなく、問題を発しているライブロックのみをキュアすればよい。 問題のあるライブロックの見分け方としては、1ヶずつライブロックを水から出して臭いをかぐ。問題のライブロックは必ず腐敗臭を発している。またライブロックの表面に白い膜状のものが出てきたら、それは付着生物が死滅して微細な生物が集まって分解している場所なので、これもキュアが必要となる。この場合は明確に死滅部分が分かるので、堅めの歯ブラシ等を使ってその部分を強くゴシゴシ擦って、死滅部分を取り除いてからキュアリング槽に移動する。
水槽立ち上げ時等に、最初に導入したライブロックのほとんどがキュアが必要な状況になった場合は、そのまま飼育水槽でキュアを行う。この場合は他にサンゴや魚等の生物が何も入ってない事が条件。理由としてはほとんどの場合、上記の水量や水流、水質浄化設備等の環境条件がキュア用の臨時水槽より本水槽の方が条件的に恵まれてるケースが多いため。キュア終了後は全換水を行いしばらく様子を見た後に生体を導入する。
いずれも、ライブロックの付着生物をサンゴやソフトコーラルと同じデリケートな生物と考えて、状況に合わせて対処することが最も大切なことだと思います。

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